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きーんこんかーんこーん……。
一限目の終わりを告げるチャイムが成り響く。
今頃教師では教科書をしまう音と、椅子を引く音でごった返しになってるだろう……。
──が、俺が居る場所にそんな音は満ち溢れていない。
聞こえるのは木の葉がざわつく音だけ。
とても静かだった。
俺は一時間前に来た道を引き返す。
教室に向かうためだ。
すれ違いになる生徒がいた──が、声を掛けてこない。
──当たり前だ。
中学生でこんな髪をしている奴に好き好んで声を掛ける筈がない。
三回、階段を登った所に教室はあった。
今は談笑や駆け足の音で熱気帯びていた。
そこにおもむく。
むぁ、と熱が身体にまとわりつく。
こんなに暑いのは温暖化現象の現れだろう……。
「あっ、ヤバ髪」
一人が俺を見つけて声を掛ける。
「戻ってきたんや。──あれ、ニークは?」
「ああ、ニークなら先生に追いかけられとったで」
俺が答えた訳じゃない。
答えたのはリスとトラだった。
それにしても……ニークの奴。
見付けられているとはどん臭いな……。
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