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『きゃっ!』
狼型のワームに体当たりされ尻餅をつく。
ぐるるる…
涎を垂らして近づくワーム達、3頭。
『どうしよう…』
手元には弓と矢一本。
いわゆる絶対絶命だ。
しばらくにらみ合いが続く、不意に鳥が羽ばたく音がして目をそらしてしまった。
慌ててワーム達を見ると既に跳躍していた。
(死にたくないよ!)
反射的に目をつむる。
ビシャ…
(私の血かな?)
(あれ?でも痛くない…)
恐る恐る目を開けると三頭が絶命して倒れていた。
皆さん一刀の元に切り捨てられていてなかなかの実力を持った人物がやったのだろう。
『わっ!』
私はいきなり持ち上げられて間抜けな声をあげてしまった。
『大丈夫?』
振り返ると革の胸当てをした冴えない?青年が立っていた。
(綺麗…)
とても滑らかな長く黒い髪にみとれていると彼は私の顔の前で手をふった。
(何したいんだろ?)
彼はひとしきり思案すると肩をすくめて呆れたポーズをした。
『あの~』
『あ、ありがとうございます』
私は深く頭を下げてお礼をした。
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