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「髪・・・伸びたな・・・」
「10歳のお誕生日を迎えて以来ですよ」
「そうか・・・」
シャワー室から聞こえてくる言葉に執事は一つ一つ丁寧に対応する。
「それより巽様」
「・・・?」
「今日、卒業式らしいですね」
学校の話しか・・・と巽はズボンを履くとバスタオルを持ってソファーに腰掛ける。
ピッと音を立てて82型の液晶テレビに明かりが付く。
時間は6時を回ったとこだった。
『事件から二週間、埼玉県、さいたま市の女子高生、宮薗 麻弥さん(17)の行方が解らぬ真間状況は困惑になる一方だそうでそれに対し警察は・・・』
「ク・・・クククク」
「どうかなさいましたか?」
バスタオルを頭に被せ猫背の真間巽は笑い出した。
「あははははは・・・」
「馬っ鹿馬鹿しい」
そう巽の言葉が言い終わる前にテレビから明かりが消えた。
掛け時計はちょうど真下を指したころだった。
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