参日目

4/4
179人が本棚に入れています
本棚に追加
/97ページ
「ぉはよー」 「おはよー昨日のテレビみたー?」 「みたー‼あれさぁ....」       「・・・くだらないな」       流れる景色の中で巽は呟いた。   「・・・・・・巽様着きましたよ。・・・どうかなさいましたか?ご気分が優れませんか?」 「いや、大丈夫だ。      ありがとう」   バタン   「・・・いってらっしゃいませ、巽様」                         「卒業者・・・3年A組...」   体育館が二酸化炭素の波を打つ。 新しく改築された校舎に違和感を覚えながら黙って椅子に座る。 辺りは固い殻を被り、腐った自分を隠す人間でいっぱいだ。 教師のつまらない戯言に付き合うのも疲れた。   「卒業者・・・3年F組相楽 巽。」 「はい」       「卒業おめでとう。   社会に出ても強くな」 「ありがとうございます。」       俺は十分強いよ。       「何があっても負けるんじゃないぞ」 「はい校長」       解ってるさ 俺が負けるはずない       「・・・」   最後に校長と握手を交わして礼。 今の校長は嫌いではないほうだ。 前回の校長は頭ごなしに自分の理想の生徒を作り上げるのに忙しい方だったからな。   「ふ・・・                           さよなら                  校長叔父様」                     プツン                 何か小さく切れる音と共に巽は体育館から姿を消す。              その時体育館から何かが崩れ落ちる音がした。                                     「俺の家に地下が在るのを知っているのは貴方だけだ・・・相楽校長・・・?」             「あの世で強く生きろよ?」             「生存卒業者       相楽 光彦」
/97ページ

最初のコメントを投稿しよう!