プロローグ

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現在の時刻、9時37分。約束の時間に7分遅れ。いつもなら苛立つなり、呆れるなりするこの状況も今日だけは感謝する。今はなるべく時間がほしい。 そう、彼女にプロポーズする言葉を探すために… ・ The last tears ・ 自分でも自覚できるくらいそわそわしてるのがわかる。周りからクスクスと笑われてんじゃないかって冷や汗が滝のように背中をつたう。 いつから俺はこんなに弱くなったんだ? 思わず自問してしまったが、そんなことは最初からわかってる。 彼女に出会ってからだ。 彼女に振り回されるようになって、いつしか振り回されてないと落ち着かなくなてしまった。 そこのオマエ、俺はMじゃねぇぞ。 タバコを取りだし、火をつける。吸うなと彼女に小うるさく言われてきたが、こう思考がかき乱されたら言えるもんも言えなくなる。煙を吸い込み、器官支あたりで止め、はき出す。こうすれば肺癌にならないと叔父が教えてくれた。ホントかどうかは知らないが。 ようやく落ち着き、よくよく考える。 一言結婚してくれって言うだけでいいじゃないか。 そうだよ。俺とあいつはもう5年もつきあってんだぜ。 早い奴なんか2、3ヶ月だ。
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