プロローグ

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だから成功する確率の方が高いわけだし、万一失敗しても破局なんてことにはならない…ハズだ。 落ち着いてきた分、ネガティブになってきた。 もし失敗したらこれまでの関係も気まずくなって、ある日いきなりメールで「別れましょ」なんてきたら俺は間違いなく死ねる。 プロポーズなんてしなくてもいいじゃないかと何度考えたことか。 でも男として、ケジメはつけないといけないとは思う。わかってるんだ。けど言えない。今、アイツに拒絶されるのが何よりも恐い。されたら平常心じゃいられないくらい狂っちまうんじゃないだろうか。拒絶されたら俺はどうなるんだろう。 俺は、俺は、俺は… 「オイ」 声が聞こえた途端、いきなり脳天に衝撃が走った。誰だと一瞬思ったが、こんなことをする奴は一人しかいないことに気づき、振り向いた。 そこには俺より頭一つ小さく、肩にかかる長い髪がとても印象に残る女性が、俺が買った貢ぎ物であるバッグを振り回していた。5年も付きあっているというのに思わず見惚れてしまいそうになるが気合で抑える。 「なにすんだ!」 そう言うと彼女は別に悪いことしてませんよって顔で答えた。 「だってさっきから呼んでも気付かないんだもん」
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