第1章       アレは火曜日のことだった

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  黙々とケーキを食べていた修司に突然母は聞いてきた 「もうすぐ高校卒業だけど、何かやりたい事とか無いの?」 少し間が開いたが、何食わぬ顔で修司は答えた 「別に、家の手伝いでもするよ。俺が出てったら母さんと優衣だけになるだろ? 健司は不良だし...」 現在夜の9時、弟はまだ帰っていなかった。 「お前に手伝える事なんか無いから、さっさと出てけよ」 〔可愛げの欠片も無い妹だな〕と修司は改めて思ったが言わなかった。 「でも、万が一の事があれば…」 そう言いかけると 「大丈夫、健司もちゃんとさせるから、自由にしな」 母は軽く修司の肩を叩いた。   しばらく考え込んだ後 「じゃあ、王都に行って法律を学びたい」 修司はやっと本音を吐いた すると、母も優衣も予想外の言葉に動揺を隠せなかった 「修司、本気で言ってるの?」 「でも、此処から王都までは少なくとも半年は掛かるし、気持ち悪いモンスターだって沢山いるよ、無事に辿り着けるかさえ微妙だけど?」 母と優衣は少しだけ心配そうな表情を浮かべる。 「道場にも通ってるし、たまに外で狩りもしてるから、それにルシファーも連れてくし」 ルシファーとは、修司が飼っている馬である 毎日餌付けしている修司と、なぜか雅樹以外には全く懐いていないが脚はそこそこ速い
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