第一幕・始まりの音

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「堂島!ちょっと職員室まで来なさい」 ロータリーの所で担任の小嶋に呼ばれた。 ちっ…と舌打ちして、 「悪い、ちょっと行ってくる」 「あぁ、あまり待たせんなよ」 俺は小嶋の後に連いて行った。 「堂島、この時期にこの点数はヤバイぞ。大学はどうするつもりだ?」 担任の小嶋が机の上に並べられたテスト用紙をバシバシと叩きながら言った。 テストの答案のほとんどが赤点、赤点、赤点… 赤点のオンパレードだ。 ある意味、見ていて気持ちがいい。 「別にいいよ、大学行く気ないし」 「卒業したらどうするんだ?来年は最高学年だぞ」 (またいつものお説教が始まった…) 担任の説教は長いから困る。 十和を待たせてるのに… 俺はイライラしながら担任の言葉に適当な相槌を打つ。 「一年の時は成績も学園内では五指に入り、テストではいつも現・生徒会長と競ってたのに、二年になったら成績もガタ落ち…一年からの成績を維持していれば、東大理Ⅲも確実。今からでも遅くないんだから…」 俺は小嶋の言葉を遮った。
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