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「理Ⅲていったら医学部じゃねぇか。俺は医者になる気ないし、それに勉強には嫌気が差したんだよ」
「今の若い者はチャレンジ精神がなさすぎるな」
「おい、こら!人の話聞いてんのか」
嘆息する小嶋に一発殴ってやろうかと思ったが、職員室なのを思い出し理性で抑える。
担任の小嶋は中年のおっさんだが、なぜか憎めない性格で、俺も口では文句を並べても呼び出されれば必ず行っていた。
それも小嶋の人柄がそうさせるのかもしれない。
もちろん、うっとうしい時だってあるけど。
「何かあったのか?成績優秀だったお前が、これだけ成績が落ちたんだ。何があったんだ?」
小嶋は声のトーンを下げ、心配そうに俺を見上げた。
「別に…ただ勉強がつまんなくなっただけだよ」
「でも今のこの成績だと卒業は厳しいぞ。せめて赤点だけは取らないようにしてくれ」
「はいはい。んじゃ、俺はもう帰るから」
「堂島、まだ話は終わっとらん!」
「俺は終わったんだよ」
一方的に言い放って職員室を出る。
小嶋の話はいつだって成績の話ばかりで、聞き飽きた。
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