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夏祭りも終わり、瑞穂ともかなり分かり合えた気がする今日この頃。
俺は空港に来ていた。
有希がドイツに帰ってしまうのである。
もともと3日間の滞在だったのだが、色々あってやはり離れたくないよ畜生みたいな感じで別れを惜しむことになってしまった。
「お兄ちゃん…そんな顔…しないで…?」
「…あぁ…。有希がそう言うなら…」
俺は今にも爆発しそうな涙腺に人間力を全て集めて悲しみに耐えた。
「お兄ちゃん…有希…お手紙書くからね…?それに…電話もいっぱいするから…!」
「あぁ…待ってるよ。だから、有希もリハビリ頑張れよ?」
「うん…!頑張る…!
じゃあ…有希もう行くね…?」
「あぁ…またな」
俺は有希の頭を撫で、車椅子を押されていく有希と別れた。
涙を見せないのが有希との約束だったからな…。
俺は有希の姿が見えなくなるまで、搭乗口の前で旅立つ最愛の妹を見守っていた。
「ふぅ…」
飛行機を見送りながらため息を吐くと、俺の隣に母さんがやってきた。
「気が済んだ?」
「何がだよ…はぁ…何で有希だけドイツに行かなきゃならないんだよ…」
まぁ…俺のせいなんだけどね。
「まぁ…あんたのせいなのよね」
正直に言われるとさすがに堪えますぜ母さんよぉ…。
「それより母さん、祭りの日とか何で家にいなかったんだよ?
母さんなら僅かな時間を見つけてでも一緒にいるはずだろ?」
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