プロローグ

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 『人間は夢を見ずして生きられない』。  うちの店長がよく口にする言葉だ。  そう毎度毎度聞いていると、こちらとしてはうんざりの領域を通り越して、よく飽きないものだなぁと感心さえするようになった。  けれど、よく考えてみると、確かにこの言葉って的を射ているのだと思う。  人間とは厄介な生き物だから。  今が『幸せ』でも、それ以上の何かを求める。  叶うとまた次を。  そして叶えられないと、残るのは酷い空虚感だけ。  人生がそんなに簡単じゃないことくらい、人間が一番分かってそうなものなのに。  ……ほら、また。  ──あなたも、迷ったんですか?
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