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春爛漫……なのか?
四月だと言うのに桜は咲いておらず学校までの長い坂道を歩きながら俺は葉っぱだけの木を見つめた。
桜が満開になれば華やかなんだろうけどな。
まだ寒さの残るなか、俺は学生服のポケットに手をつっこみ、音楽の音量を上げた。
耳につけたイヤホンから重苦しいビートが流れる。
MCが軽快に韻を踏みながら言葉を繋いでいた。
もう一度、上を見上げる。
空は快晴だった。
入学式に相応しいのは天気だけで桜も気分も1分咲き以下だ。
海『………入学式な…』
そうこうしているうちに正門につく。
周りは中学からの友達や親と来ている生徒が多く、一人ポツリと立っている俺は何故か場違いな感じもしてきた。
海『……青海学園か…』
青海(オウミ)学園。この春から俺が通う高校だ。
自慢ではないが県内有数、そして全国でもちょいと名の知れた進学校だ。
もぅ一つ、自慢ではないが…俺はバスケで特待生としてこの高校に誘われた。
バスケとサッカーに力を入れている高校でインターハイにも何度も出ている。
でも俺は元々、特待生という制度が嫌いでそれを断って一般受験で入学した。
勉強は嫌いじゃなかったし、野球と違ってプロが有名じゃないバスケというスポーツで、それで食って行くという事は考えた事もなかった。
特待生と一般生の1番の違いは授業のカリキュラムにある。
特にスポーツ校の特待生が入るクラスでは午前-授業の午後-部活というのがザラだ。
周りは6時間目授業をやっているが……
進学を考えていた俺にとってそれは苦痛だった。
それが嫌で特待を蹴った。まぁバスケは続けるつもりだが…
あ、もう一つ自慢したかったが…それは後にしよう。
まぁそんな訳で俺は今、ここに立っているんだから…あながち場違いでもないだろう。
俺は校門をくぐると指定された教室に行き、入学式前に職員室へよってから体育館へ向かった。
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