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海『…………………』
朝の目覚めは最悪だった。
いつぶりだろう…入学式の夢を見るのは……
海『……くわぁ~』
大きく背伸びをすると右肩にちくりと痛みが走った。
海『……伸ばし過ぎた…』
俺は軽く呟くと右肩に手をあて軽く回す。
ふっと部屋にたてかけてある時計に目をやった。
訂正事項があった。朝の目覚めではなく昼の目覚めだ。
時刻は既に10時半を回っていた。
俺は数分ボーっとすると制服に袖を通し、空っぽの学生鞄を抱え一階へ降りた。
家は静かなものだった。
親父は仕事に行ったのかもぅ家には俺だけだ。
冷蔵庫を空ける。
食材と呼べるようなものはなかった。
牛乳瓶を一本とり、飲み干すと俺は家を出た。
外はどんよりとした天気だった。
雨は降らないらしいから傘はいらないだろう。
まぁ傘なんか学校の下駄箱にいくらでもある。
俺は気分も最悪なまま学校までの道則を歩きだした。
こんな時間だ。桜並木にだって人はいない。
長い坂道を一人、音楽を聞きながらトボトボと歩いた。
入学から1年と少し…変わったもんだな。
桜の木を見つめながら思う。
海『今年も桜…咲かなかったしな』
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