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そんなこんなで午前の授業も終わって昼休み。今日は幼なじみメンは学食へ行ってしまったのでテルと2人で昼飯のハズだったが、
「茄子くん。今日2人だけなの?」
「いや、だから茄子、」
「それなら一緒に食べようよ。」
そうですか。返事待たずにですか。しかも発音の件普通に流されたし。でも別に悪い気はしなかったのでテルに了解をとり、
「あぁ、いいよ。」
ということで一緒に昼飯を食うことになったのだけど、
「いいってさ。おいで夕乃。」
あら。ツレがいらっしゃったのですか。まぁ、特に気にもせず机をくっつけた4人。俺の前に柳瀬さん。テルの前に夕乃さんという形だったが、突然テルが下をむく。ふとテルの前を見るとそこには長身のスレンダーな体つきの女性がいなすった。俺と対して変わらないところから見るに170はあるだろう。髪の毛はショートボブで目はやや切れ長。鼻もいい形をしておりかなりのハイスペックをお持ちの方だ。
小柄な柳瀬さんとは正反対だ。
と、そこでテルが下を向いている理由が分かった。このままではテルの精神衛生上よくないと思ったので机に無理やりいちゃもんをつけてテルと席を変わった。
そうなのだ。テルはオタクであることを包み隠さずいるのでめったに可愛い子の近くにいることなどない。ゆえに免疫ができていないのだ。免疫のできてないテルの前に夕乃さんのようなハイレベル極まりない方がいらっしゃった場合結果は火を見るより明らかだろう。柳瀬さんには大変失礼だが、これもテルのためだ。でも、柳瀬さんだって可愛いらしいお方だ。普段のテルなら動揺するだろうが、夕乃さんを見たあとではショックが大きかったためかむしろ落ち着いている。
俺がテルの席に着いたら夕乃さんが若干視線を泳がせていたのでなんだかひどく悲しかったことは胸の奥底にしまっておこう。
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