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今日もいい天気だ。
通学路を歩きながらそんな呑気なこと言ってられる俺は素晴らしく幸せなんだと思わなくもない。
俺は那須陽平。高校に入って2ヶ月。幼なじみとも同じクラスになれて難なくクラスに溶け込めたし、そこそこ良い友達もできたし、部活は面倒くさいから入らなかったし、勉強も相変わらず下の中だし。こ、今度の期末が勝負だからな。
まぁ、若干至らないところはあるが、普通の高校生の代表と言っても過言ではないだろう。
「洋介、誰か可愛い子紹介しろよ~」
とかのたまっている小柄なコイツは幼なじみその1、工藤義隆だ。短髪に程よい茶色の健康的な肌の通り活発な奴だ。
「そうあんまり飢えんなよ」
と微笑みを崩さない長身のコイツは幼なじみその2、吉本広太だ。肩あたりまで伸びた漆黒の髪がオーラを醸し出している。
「てめぇはいいじゃねぇか。モテるんだからよ~。」
そう、広太はモテるのだ。
「僻むなって。でも俺同年代の女の子には興味ねぇからなぁ。」
なんでも二十歳過ぎじゃないと欲情しないんだとか。
「ちっ。選び放題選り取り見取りでいいですね。」
「まぁ、広太とサルじゃ作りが根本的に違うしな。」工藤義隆はそのビジュアルと性格からサルと呼ばれている。
「なんか人権侵害じゃね?それ。」
「サルだからないだろ。」
「あ~ぁ、言っちゃった。てめぇ覚えてろよ。」
「ん?なんだぁ?」
「言ってるそばから言ってるそばから!」
横で広太が笑っていた。
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