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「みんなちょっと席ついて~。」
学級委員長の鎌田愛は陸上部である。肩まである黒髪と勝ち気なつり目が特徴のまぁ、可愛い部類に入る女の子だ。また気さくで人当たりがよく、なかなかに人望の厚いお方だ。ちなみにあだ名はカマちゃん。男子からも女子からも同じように呼ばれている。でも結構な体育会系でガードが固そうなだから落とすにはひと苦労だろうな。いや、その過程こそにそそるものがあるのかもしれないな。と話がずれた。
「よし。みんな慌てているようだけど、慌ててるだけじゃどうしようもないからね。これからこのクラスの自治について会議をしたいと思います。まず、リーダーを決めなきゃなんだけどそれはとりあえず私でいいかしら?」
クラス全員が頷く。
「じゃあ、私が責任をもってやらせてもらうね。それから…」
さすがだ。見事にクラスをまとめ上げていく。これも人徳の成せる技。もう崇めてもいいっていう信者ならいるんじゃないか。
そんなことを考えている間に他の役職と今後のクラスの方針が決定した。方針といっても少しの間は様子見ということらしい。まぁ妥当だろう。
そんなこんなで一限目が終わり順番に午前の授業を消化していった。なんだか居眠りしている人が少なかったのはクラスの勝負を意識してのことか。俺はとりあえず現代文は寝た。
そして昼休み。
俺と幼なじみメンは一緒に弁当を食っていた。
「まったく。みんな授業真面目に受けてたから気疲れしちまったぜ~。」
「その割には盛大な鼻提灯出して眠りこけていたけどな。」
「だぁっとけ。」
そんなことを話していたらふいに声をかけられて振り向くとそこにはコーヒー片手にだらしなく着た制服。髪の毛は明るい茶色という不良丸出しのお方がいなすった。
「なんかあったんか?やけにざわついてる。」
コイツは成岡雅之。そのまま不良。かなり荒っぽい性格の持ち主だ。遅刻魔。学校を休むことも珍しくないような奴だ。
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