君の名前

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春麗らかな3月。桜が咲き始める。穏やかな今日この頃。心も穏やかになる。 筈なのに・・・・! 「高坂さん、会議室に来客二名。応対して。」 梓は入力していた手を止めて給湯室に向かった。 「はい。」 「ごめん、直ぐに行くから💦」 先輩に言われてにこやかに答えた。 給湯室でコーヒーを淹れると会議室に向かった。 隣にある会議室に入るとスーツ姿の男性が二名座っている。 「失礼いたします。大変お待たせ致しております。只今参りますのでもう少々お待ち下さい。」 コーヒーをテーブルに置いて梓は会議室をでて自分のデスクに座って入力を再開した。 彼女は高坂梓。高校卒業してすぐに就職した。入社して三年。仕事も手慣れて来ていた。 はぁ・・・・忙しい💦忙しくて最近は合コンにすら行けないよ💦 「高坂さん、お昼だよ。先に行って。私まだ終わって無いからさ。」 隣のデスクの女の子に言われて梓は鞄を持った。 「解った。じゃあ後は宜しく。」 梓は会社の目の前にある公園に向かった。 会社の目の前にある公園はこじんまりとしていて桜が沢山植えてあって、会社員の憩の場所になっていた。 梓はお昼を食べる場所を探していると、ちょうど早めに昼食をとっていたサラリーマンが退いた場所に陣取った。 梓はベンチに座って鞄からステンレスボトル、お弁当、タバコに携帯灰皿を取り出した。タバコに火を着けて、一息ついた。 「フゥ~・・・・・」 暖かい陽気に梓はほっとしたように伸びをして、ボトルからコーヒーをコップに注いだ。 「ん~、いい天気」 桜もちらほら咲き始めていて、気持良かった。 その時、携帯が鳴った。着信音からして登録外だった。 間違い電話? 梓は携帯を取り出して画面を見るとメールだった。 やはり、登録外だった。 間違いメールって普通はあんまり無いもんじゃない? 梓は気になって開いてしまった。 ・・・・うわぁ💦見なきゃ良かった💦 内容は別れた恋人に宛てたメールだった。 『君がサヨナラと言っていなくなって、ちょうど一年。俺は今でも君を忘れられない。君の最後の言葉が頭から離れない』 重いなぁ・・・・💦まぁ、返信なかったら間違いに気づくよね。 梓はこの時軽く感じていた。
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