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―――…居た。
紛れもなく…
瞳を閉じた僕の視界に…
“ソレ”は存在していた…。
“ソレ”は、人の形をしていた。
―全身、黒ずくめのコーディネート…
―やや光沢のある真っ黒のロングコートからスラリと伸びた足…
全身が真っ黒なせいか、露出の少ない肌はやけに白く感じた…。
また、それとも対照的にゴツめのシルバーアクセサリーが至る所に散りばめられていて…
その出で立ちは、まるでバンドマンの様で、
不思議なオーラを醸し出している…
ふと、視線を上にズラすと、
“ソレ”と目が合う…
正確に言えば、視線をズラす事も目が合う事も無いのだけれど…
“ソレ”は僕を真っ直ぐ見ていた…。
―やや、切長の目…
少し長めの銀髪…
どこか見下しているかの様な
不敵な笑み…
―率直に、端正な顔立ちだった。
一通り、見定めた後、
僕は少し頭の中を整理した。
―どうして、コイツは浮いている?
そう…相変わらず自由の利かない僕の体…
つまり寝たきりの状態で、
僕は彼を認識している。
幾ら考えても出てこない答えに
苛立ちを憶え、僕は思わず、
声を発した―。
『―誰?』
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