序章
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『…好きにしろよ。』 精一杯の気遣いだった。 碧を置いて歩き去る。 背に碧の視線を感じていた。 しばらく歩いて深く息を吸う。 (冬の匂いがする。) 大きく息を吐く。 目の前が白くなり、すぐに消えた。 眉根を寄せて空を見上げる。 『…ふざけんなっ…』 弥生の呟きもまた、雪に消えた。 辺りにはしんしんと雪が降る。 中学卒業を間近に控えた、15歳の冬であった。
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