9人が本棚に入れています
本棚に追加
もう待ち合わせの時間から20分が過ぎようとしている。はぁっとため息をつき、いつ来るか分からない恋人を一人虚しく待つ。
以前に私が仕事中の彼に電話をした時ひどく叱られた。「いつなんどきに大事な取引があるか分からない、仕事上、携帯は持ち歩かないといけないから俺から連絡しない限り、仕事の時間は連絡しないでくれ」と。
彼女だから理解しなきゃいけないけど、こんな待ち合わせの時は理不尽に感じる。きっと遅れて来た彼はこう言うわ。
「悪い、仕事が長引いてな」私が連絡くらい…と言うと
「仕事中に連絡出来ないことくらい察しろよ」
そして私は何も言えずに彼との時間を向かえるの。いつもそう。
そんなことを考えていると私の頭上で声がした。
「あのー…」
彼が来たと思い勢いよく顔を上げると、傘の水滴が目の前のスーツに飛び散った。
しかし目の前にいるのはいつも見慣れている顔ではなかった。
最初のコメントを投稿しよう!