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「金ナイの?使えない……」
僕はあの日も高校の先輩というただ、年を重ねただけの人間から小遣い稼ぎをしていた。
指先で札を数える。
7万。
ピンッとわざとらしく一枚はねて、先輩に渡す。
「はい。収入。一週間で7万てさ、最近年くって値打ち下がったの?先輩。売れなくなっちゃった?」
僕はにっこり微笑んで、先輩を見た。
先輩はパッと頬を赤らめる。
僕は容姿がいい。きっと芸能界に飛び込んだって、余裕。演技力もあるし。事実、スカウトなんて日常茶飯事。だから僕はモテる。男女問わず、ね。
だからそれを生かして、利用できるものはとことん利用する。
僕を好きだというこの人も。
僕の《喜ぶ顔》とやらが見たいから、売りたくもないのに求めてくる客のために服を脱ぐ。
正義感のある常識気取りが『罪悪感はないのか』と僕を責めたてる。
別に?
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