クロエ戦記

4/32
前へ
/49ページ
次へ
「よっし、生意気だ。こいつらもタコ決定!」  陰すら作ることのない純白の大鎌を擡げると、クロエはさっきの戦闘前に言ったセリフをまたもや口にした。 「汚鬼苗、蒼牙。さっきと同じで手は出すなよ、これは俺の玩具だから!」  開戦の電子音。  それを聞いて動いたのは、言葉通りクロエだけ。  しかし、敵側の男達が動かなかったのは、わざとだった。 「“千夜一夜を駆けるは祖の氏により看過される獣よ! ゼルゼン”!」 「“御身懐郷を駆けるは祖の氏により看過される獣よ! バンズル”!」 「“天未地峡を駆けるは祖の氏により看過される獣よ! ライラン”!」  敵が口にした魔法は喚起魔法。  クロエが突進をしていく前方から、横に三つ並んで召還された。  三体とも全て犬のような獣だったが、それぞれに毛並みの色が違い、左から黒、青、白。 「はん! 下級のペットかよっ! 話にならねー、よっ“旋撃”!」  と、それを歯牙にもかけなかったのはもちろんクロエ。  戦闘スキルによって吹き飛ばされた犬達は、着地する前に消え失せた。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加