八十六(ヤソロク)

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「ありがとう!キレイだねぇ~。高そうな花ばっかりじゃん!」早速生けようと、浅い知識で洗面器に水をためてハサミで茎を切る。 「そうだ!前田に飲ませようと思って、赤ワイン買ってきたんだよ~。」 「おぉ~。ワインにはうるさいぞ~俺は!」そういいながら靴を脱ぎ、スス~ッとフローリングの床を見事なスケーティングでソファーに座るはずが勢い余ってベッドに転がっていた。 会ってから間もないのに、何か親しみを感じる奴だ。 ワインをグラスに注いだ状態で手渡した。「はい、どーぞ。」コンビニの安いワインを飲む前田‥‥。 「これは!!」大袈裟な前田。「これは!以外とウマイ!でも安そうな味だ!」 「ほぼ正解!!コンビニのワインでした~。」私もコップでワインを飲む。テーブルには鉛筆立てに入ったお花が‥‥。 「花瓶なかったのか!無いって言えば持ってきたのに。」「無い。」 「遅いわ!」グイッとワインを飲み干し、目線を下げると、テーブルの下に青むし入りのビンが‥‥。 露骨に嫌な顔をする前田、再び。
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