―寺田隆弘―

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「ねぇ寺田君,本当に行くの?」 後部座席の宮島が運転中の寺田に不安げに聞く。 「当たり前でしょ。 あの新聞があったのだって何かの縁さ。 な?凜?」 助手席で嬉しそうに鼻唄でトトロを歌う富海に振った。 「うん!」 「凜まで~。 何かあってからじゃ遅いんだからね~。」 「あの二人に何言っても無理だって。 それに何も起きっこないから。」 後部座席の工藤が宮島をなだめる。 「怖いの嫌いなのにオカルトサークルに入ってくるのも珍しいよな。」 寺田がバックミラー越しに宮島を見て意味ありげに笑う。 宮島は隣に座ってる工藤を横目でチラッと見て,顔を赤くして俯く。 「後どのくらいなの?」 富海が寺田の肩をバシバシ叩く。 「待ってろって。 もう少しで着くから。」 「あ,雨だ。」 一行は高田のいる漁港へ向かって行く。
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