鉄塔少女

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「何かわからんがフランだな。よしフラン。歳はいくつだ。お父さんお母さんはお前が学校行ってないこと知ってるのか?」   「セクハラは間に合ってるんで止めてください」   「セクハラじゃねぇよ!」      これがセクハラだったら、もう二度と鉄塔から出ない。しばらく離れているうちに世界はこんなにも変わってしまったのか。    同じ質問をもう一度しようと思ったが、目の前の少女は『もう聞くな』オーラを体からほとばしらせていたので、俺は開きかけていた口を仕方なく閉じた。     「…………」   「…………」      流れる沈黙。ここにいても気まずいだけなので、とりあえず朝食の準備をしようと鉄塔の足から離れ、反射エネルギーを利用して二つ上の鉄柱まで飛び上がる。一昨日から寝かせてあった鍋を手に取り、こぼさないように、今度は慎重に柱づたいに降りる。    地面に足が着くと同時にフランは立ち上がり、気だるそうな顔で鉄塔の中に入ってきた。     「何……?」   「カレー。じっくり寝かせておいた」   「よろしい」      どこから出したのか、自分専用のお椀を俺に手渡すと、また鉄柱の足に寄りかかる少女に、俺はため息を付く事しかできない。     「火ぃ起こすから、時間かかるぞ」
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