808人が本棚に入れています
本棚に追加
/1164ページ
「こっちに引っ越してきたばっかりで、ちょっと道が分からないと大変だったから…助かったよ」
「そうなんだ。引越しきたって事は…」
「こっちの学校に通うから通学路も、な」
少し男口調が混じった、彼女の口調にはいやなものは感じない。
むしろ、好感が持てる。
「ふーん。で、何高?」
「……そこの北高だよ」
運命だ!
これは運命的な出会いだ…!
「マジ!?俺も北高なんだ!!」
「同じ高校だったんだ…偶然だね。」
ちょっと安心したように、はにかんで笑う彼女は可愛くて…
俺は本当ににやけてしまいそうになる顔を、必死で抑える。
「でさ…」
「あのっ!案内してくれてありがとう!じゃ!!」
俺が言葉を紡ぐのを遮って、彼女は駆け出した。
「え?あ?」
ちょっとまって~!
まだ名前を…
先を走っていった彼女を止めるすべもなく、俺は立ち尽くした。
最初のコメントを投稿しよう!