春に 舞う。

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「こっちに引っ越してきたばっかりで、ちょっと道が分からないと大変だったから…助かったよ」 「そうなんだ。引越しきたって事は…」 「こっちの学校に通うから通学路も、な」 少し男口調が混じった、彼女の口調にはいやなものは感じない。 むしろ、好感が持てる。 「ふーん。で、何高?」 「……そこの北高だよ」 運命だ! これは運命的な出会いだ…! 「マジ!?俺も北高なんだ!!」 「同じ高校だったんだ…偶然だね。」 ちょっと安心したように、はにかんで笑う彼女は可愛くて… 俺は本当ににやけてしまいそうになる顔を、必死で抑える。 「でさ…」 「あのっ!案内してくれてありがとう!じゃ!!」 俺が言葉を紡ぐのを遮って、彼女は駆け出した。 「え?あ?」 ちょっとまって~! まだ名前を… 先を走っていった彼女を止めるすべもなく、俺は立ち尽くした。
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