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綺麗に晴れた空の下、私は通学路を1人でとぼとぼと歩いている。
「はぁ~」
思わずため息が出てしまった。
「祈羅、おはよ♪」
すると突然聞き慣れた声が後ろからする。
「拓人先輩!!」
振り向くと拓人先輩が笑顔で小走りに私の横に来る。
「今日は亜慧と一緒じゃないの?」
「あさチャン早く行くって言ってました」
「そうかぁ~…てか、今度一緒に遊ばね?」
満面の笑みで顔を覗いて尋ねてくる。
「いいですよ!」
私は迷うことなく返事をした。
「じゃぁ、どこ行きたいか考えとけよ♪」
クシャッと頭を撫でると前にいる友だちの所に走っていった。
「……」
撫でられてクシャクシャになった髪を直しながら友だちと楽しく話す拓人先輩を思わず見つめた。
「…羅、祈羅!」
「はッ…」
急に声を掛けられ我に返った私は声の主の方を見る。
「何、道端でボーッとしてるんだよ」
「ごめん」
「別に謝んなくていいよ、ほら行くぞ!」
拓人先輩と似た柔らかい笑顔を向けられる。
「う、うん…」
私、こういう笑顔とかにドキッてくる質なのかも。
赤くなった顔を隠すように帝紀の後ろをついていく。
この時はまだ気付いてなかった…
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