想いの人

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「どあぁ…疲れた……」 イスを引いて腰をかける。 危うく門番の先生と職員室に行きそうになったよ…… 「あらー頑張ったね、おばあちゃん」 前の席で笑っているのは里内歩(サトウチアユミ) いままで悪いことも良いことも歩と一緒にやってきた。 まぁ、親友 「まぁって何よ」 「はい、人の妄想に出てこない」 性格は正反対で共通点なんてありゃしない。 しいて言うなら… 「そんなことより愛!!」 「ん?」 「これを見なさい!!」 目の前に出された四角のフォルムに[mouse]の文字… 「mouseの新曲ぅう~~~~!!!!」 教室の中心で愛らしきものを叫んだ私。 ふふんと笑う歩を拝む これが私たちの唯一の共通点。 歌が好き 「歩様!!あなたは神です仏です」 「もっと誉めていいわよ~~~」 オホホと笑う歩の顔が急に引きつった と、同時に多分私の顔も 「朝から隣で変なコントすんじゃねえよ」 「その笑い方はキモイし、な」 ニシシと笑う2人。 「いたぁ~叩くことないじゃんっ!!」 「悪かったって、おこんなよ」 横で苦笑いする 今野広紀(コンノヒロキ)と中浦秀秋(ナカウラヒデアキ) 「つかオホホはやめろ、悪魔来るぞ」 「それほどでもないっすよ」 「はぁ?」 中指を立てて言う歩に広紀が嫌そうな顔をする。 私たちは同じ班で同じ部活に所属するそこそこ仲のいい4人。 ちょくちょく一緒に遊びに行くほど。 ゲラゲラ笑う3人を見ながら あーあ、今幸せだなぁ。なんて思う。 しかしその幸せは情報通の女子のおかげで砕かれる。 「みんな!!ニュース!!隣のクラスに転校生!!しかも男子でチョーイケメンだって!!」 ざわめく教室の片隅で歩がげんなりしている 「歩ー…隣の教室…」 「行かね」 即答 「デスヨネ…」 噂やらニュースにとことん興味がない歩はこういう騒ぎが嫌いらしい。 「あぁ!でも誠太に会いたい!!」 歩の口からは転校生より思いの人の名前。 「なんなのよ、あんた…」 転校生はさておき 歩のために隣の教室へ向かう。
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