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「つかさ、誠太って何がかっこいいのさ…」
誠太に会うため人混みをかき分けて隣のクラスへいく歩にため息がでる。
「あら、どっかの誰かさんの好きな細長男よりは断然かっこいいと思いますよ」
「……………。」
やっぱり歩とは正反対
性格も好みも
「どうしてわかんないかなあ~誠太のあの威厳が」
あたしには型がよくていかつい男にしか見えないのだが…
あれが威厳なのだろうか。
そうこう考えているうちにあっというまに人だかりの先頭へ。
「誠太ぁ!!」
ズカズカ中に入っていく歩の後をおう。
歩のおかげでなんもしてないのにあたしは隣の教室へ入ってこれた。
「元気だなぁ…。」
「だな。」
横からすっと出てきた人。
歩のいう細長男。
「お、けんちゃんじゃん」
「うっす」
あたしの好きな人。
優しくて、おもしろくて
「転校生どれ?つか見た?」
「見たよ~。かっけーヤツだった、あれ」
けんちゃんが指差したとこは女子の塊。
「ちょーモテモテ?」
「だな。」
女子の隙間から見えたその少年は稟とした顔立ちで優しそうな目をしている。
「かっこいいだろ?」
「うちはそう思わないなぁ…」
だってけんちゃん一筋だし
あぁ、あたしって相当アホね…「変なヤツな、お前」
「けんちゃんに言われたくないかな。」
ひでぇ~と笑うけんちゃんに思わず笑みがこぼれる。
「あの、後藤さん」
「のわっ!!?」
「おわっ!!」
急に話しかけられてびくっと体が硬直する。
けんちゃんの方に倒れちゃったよ。
「びっびっくりしたぁ…」
「すいません…驚かせるつもりは……」
ふぅ、と後ろを振り返る。
「後藤さん、隣のクラスでしたよね?」
そこにいたのは、
「転校生…」
さっきより近くでまじまじ見れば、髪は緑のメッシュ混じってるし…グレてんのかな?
「後藤さん、ですよね?」
「はぃ…」
知らない人に話しかけられるとリアクションが取れなくなる。
「何、後藤知り合い?」
「いや知ら「違いますよ。」
あたしの言葉は転校生に先を越されて
「僕の名前は、森林碧。(モリバヤシミドリ)よろしくね」
なんて自己紹介までされて。
「…よろしく…ね…?」
うーん、世の中不思議なことが多いなぁ、と森林の後ろ姿を見て思った。
女子の視線が、痛いなぁ…
「愛、帰ろう?」
「うん。けんちゃんも行こう?」
「おぅ。」
変なことに絡まれちゃった。
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