転校生?

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ピッー 校庭に響く笛の音。 「ひでちん気合い入ってるねー」 時期部長を私たちはニタニタしながら見る。 「ひでちん言うな、ちん」 タオルで汗を拭ってこっちを睨む。 「部長とかまじだりぃ…」 「似合ってるよ、ひで」 ふぅ、なんてため息をついて一向に走ろうとしない歩と広紀を見据える。 一年生はグランド20周だって。 あたしんときは40周はしたね。落ちたものだ。陸上部 「ひろちん帰り予定ある?」 「あゆちん、ちん言わないで、空いてるよ。」 「じゃあ愛ちんとひでちんで帰りましょ」 「お前ら幼稚園でお遊戯しとけ、アホ」 呑気な2年生。 隣でバカやってる2人を放っておいてひでが走りはじめる。 あたしもひでちんに続いて走り初める。 「てめーもバカだ」 「あ、やっぱ?」 ひではあたしに合わせて走ってくれた。 遅いな、なんて言われちゃった。 「で、森林、どうなのさ?」 多分、男子の中でひでが一番仲良いね。 「うーん…興味なし!」 額に汗滲ませて初夏の日差しの中、何してんのかね、あたしは。 「あいつ、後藤のこと好きなんだろ?」 「恋愛じゃなくて友達じゃない?」 てか、そうじゃないと困るよー そう付け足すとひでは笑ってこっちを向いた。 「なんかあったら言えよ」 「はーい」 うーん、ひでちんってお兄ちゃんみたい。 「ちんやめろや。」 「はーい。」 歩だけじゃなくひでにまで見透かされてるわけですよ。 「広紀も見透かしてると思うよ」 「なぬ!?」 グランドに足音が響く。 「で、今日どうすんの?」 「へ?」 「帰り」 あたしは息を切らし初めてるのにひでなんか余裕の表情。ムカつく。 「あぁ…いいんじゃない?、一緒で」 「そうだな。」 悔しいけど、男女の差だね。 「後藤って長距離苦手だよな」 「うっさい。ひでこそ、短距離派のくせに。」 派ってなんだよ、と笑いながらひでがまたペースを落とした。
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