0⃣2⃣澪の過去と男嫌いの理由

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エレベーターに乗ると、新の病室がある階を通り過ぎ、上へ上へとあがっていく。       チーンと音が鳴ると同時に扉が開いたかと思えば、病院内だとは思えないほどのスピードで走り回る。       ナース「こちらですっ!!!」       看護士に一礼し、いきよいよく扉を開けた。       新のときとは違い、たくさんの人たちがベッドの周りに立ち尽くしてた。       無表情のまま、ボーっとしてる人がおれば、下を向いて肩を震わせてる人もおった。       澪「みんな…?」       ポツリと呟くと、みんなの視線がウチに集まる。       母「澪ちゃん、こっちへいらっしゃい。」       お母さんのあんな顔、初めて見た。       泣いてるお母さん、初めて見た。       母「お爺様に、ちゃんと挨拶するのよ。」       挨拶?       おはよう。 こんにちは。 こんばんわ。       挨拶って言われると、普通思い浮かぶのはこの3つの言葉や。       やけど、分かってるよ。       違うんよな、全部。                                                               さようなら。                                                唯一、この場にふさわしい挨拶。      
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