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世都はおもむろに立ち上がったかと思うと、ソファーの後ろに立ち、手を横に動かした。
すると、紅い線が真一文字に入った。
「世都!」
瑶は慌て、世都の元に駆け寄ろうとした。
その勢いでテーブルに置いたお茶が零れた。
手を伸ばし、世都を掴もうとした瞬間、世都は赤い線で開かれた棲伽の入り口に飛び込んだ。
「行ってきます」
その言葉を残して。
そして、赤い線は瞬時に消え去った。
瑶はその場に両膝を付き、片手を伸ばした四つんばいの格好で、世都が消えた場所を見続けた。そして、首をがっくりとうなだれた。
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