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『何故新たに使役を欲しがる。生まれ乍(ナガラ)らの使役は如何致したっ!』
潤は強く世都に訊ねた。
しかし、それに世都は答えないでいた。
水の中と言う事も有るが……。
世都は口に珪翔(ケイショウ)のそれを咥え、荒々しく、刺さった鱗を適当に引き抜いた。
が、それは全てではない。
『たった、一振りの獲物如きで、この私に立ち向かうとは笑止千万!』
潤は言うと、力をヒレに入れた。
すると、それは鋭利な刃物の様になった。それを世都に向かって振った。
世都はそれを避け切れず、右太腿を深く切る事となった。
がぼぉっ。
痛さに、世都は思わず空気を大量に吐き出してしまった。
『息も続かぬなぁ。さぁ、手加減はせぬぞ』
言った潤は愉快そうに笑った。
『欲張りなそなたには似合いの事であろう』
言い終わるか終わらない時に、潤は口から水の大砲を、世都へと向け放った。
が、世都は羽根を幾度も振り下ろし、炎を発生させた。それにより、水が蒸発した部分に気圧差が出来、激しい風が巻き起こった。
それは、水をも巻き込み、激しく二人に襲い掛かった。
二人は身を切り裂かれる事となった。
それは、ただの水と風では無い。
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