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それはまるで、自暴自棄にすら感じられた。
ゆっくりと左手を伸ばした世都は、潤の眉間の前に手をかざした。
すると潤は苦痛な表情をした。
潤の眉間に焼け落ちる様な痛みがじわじわと広がる。
「ぐぅっ!」
耐えかねぬ痛みに潤は、実際に耳に聞こえる呻き声を上げ、一度ぴしゃりと綺麗な尾で砂を打った。
その行為は絶対服従を意味する。つまり、嫌とは言えないのだ。
潤は苛立ち、思わず低い聲で呻いた。
中々服従させる為の行為が順調に行かない世都も苛立ちを覚えていた。
力が弱っているのと、潤が従う事にあまりにも反発しているからであろう。
そんな潤の額に掌を直接当て、各指に力を込めていった。
それに驚いたのは潤で、うろんな目をガッと見開いた。
そんな潤を無視し、指を額へと埋めた。
「うぐるるるるる……」
恨み言を言うかの様に、力なく呻く潤は、額に指を入れられた部位から血を流した。
「戦いに負けたのに素直に従わないのなら、覚悟するがいい」
低い声音で威嚇するかのように世都は言い放ち、一気に手を握った。
途端、潤は白目を向き、意識を失った。
世都は握り締めた手をズルリと引きずりだし、掌を開いた。
そこには血に塗れ、それの様に赤い結晶の様な珠が有った。
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