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それをビュッ、と勢い良く振ると鞭状になった。そして、それを潤の首に叩き付けるようにした。
それは砂を抉り取りながらグルリと首に巻き付いた。
「潤。いい加減に起きなさい」
世都は冷たく言い放ち、その輝く角を強く握った。
すると、潤は怒り狂ったかの様に、頭を振った。
「良い態度だな」
言うと同時に、鈍く首に巻いた鋼が光り、潤は苦しみ始めた。
地を打つ尾やヒレにより、辺りは砂埃が舞い上がり、見渡せない。
「首輪付きなんだから、自覚した方が良いよ」
その砂埃の中から、ひやりとする様な声が聞こえた。
「それは、首も切り落とすよ」
ぼんやりと見えた世都の顔は、無表情であった。
そして歩み寄り又、角に触った。
『それに触れるな……』
潤は声に怒りを込め言ったが、世都は一行に聞き入れず、綺麗と言った。
「月の様……」
とろん、とし乍言って、そっと口付けた。
その行動に驚いた潤は、体をビクリとさせた。
暫くそうしていたが、それから離れた世都の瞳は冷ややかだった。
「潤、今すぐに私を万全の体にしなさい」
行動の差に驚きながら、それを隠す様に、潤は毅然としてみせた。
『何ゆえ?』
「首輪付きは言われた通りにすれば良い。首を切り落とすよ……」
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