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『何故あなたは、世都は、恢濫(カイラン)を使役としているのに、私を下した。恢濫は生まれ乍(ナガラ)らの使役であろう?』
「違う。恢濫は生まれ乍らの使役ではない」
それを聞いた潤は愕然とした。
『生まれ乍らの使役の他に、一体付けているのか!?』
潤にとっては、流れ出る血より衝撃で有った。
そんな潤を否定したのは、恢濫である。
『世都には、生まれる以前に定められた使役は居ない』
『では! 恢濫も下されたのか!』
違うと恢濫は否定し、話し好きだな、とぼやいた。
『では恢濫は』
「恢濫は父親代わり」
感情なく、世都はそう答えた。
『聖獣が父親代わり!?』
「そう」
世都は又、恢濫に甘える様にした。
『聖獣の中でも、最も高貴とされる、黄金色を持つ聖獣が父親代わり!?』
固まる潤を、嫌な目で恢濫が見た。
『世都、あいつ、自分を最も高貴とか言ってる』
「拘るタイプなんだね」
世都は嘲笑うように、くすくすと笑った。
そして、柔らかい毛並みの、恢濫の黄金の足にくっついた。
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