使役

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「恢濫。私、珪翔(ケイショウ)の元に行きたい。そして……」  全て言いわなくても、恢濫(カイラン)には世都が望む事が解った。 『その為の事だったのか? 危ない事をするな。私は世都がこんな事をする為に、苦しみを受けた訳ではないぞ』  解ってる。  世都はそう、苦々しく呟いた。 「これが、これが一番の選択だと思ったから……」  世都は真摯な目で恢濫を見上げた。 『気持ちは解るが、事を起こすならば相談もないと。協力も出来ない』  たまに世都は無茶をする。  言って、恢濫は頬摺(ホオズ)りをした。そして、ひょい、と世都を背に乗せた。 『潤とやら、着いて参れ』  言うと、世都を乗せたままの恢濫は歩きだした。 『どこへ?』 『来れば解る。世都がそなたを下した、最大の意味も解る』 『最大の……?』
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