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「あんっ!」
瞬間、世都(セツ)は体を跳ねさせ、びくり、とした。
それに悠希はくすくすと楽しそうに笑った。
「相変わらず、敏感と言うか……」
世都の背中には、体をキャンバスにしたかの様な絵が刻み込まれていた。
左腰骨を中心に、右へは背中中腹迄。左へは巻き付く様に左腿(モモ)迄赤い花と葉があり、そこから伸びる蔦が左足甲と、右手甲迄伸びていた。
まるで植物に支配されたかの様である。
刻み込まれてもう何年も経のに、その部位に触れられると痺れた様な感じを受けた。
故、あまり服を纏(マト)うのを好まなかった。
痛い時すら有るからだ。
「熱が有るわね。通りで夕飯を食べなかった訳ね」
言い乍、悠希は溜息を吐いた。
「瑶(ヨウ)さんが心配していたわよ。全く食べないって」
悠希は歩き乍そう言った。そして、広々とした部屋の一角に有る棚から箱を取り、中から薬を出した。
「風邪かしらね。いつも食事と外出以外、何も着ないからよ。もっとも、大半はこの部屋ですけどね」
言い乍(ナガラ)、棚近くの冷蔵庫から取り出した水を、コップへと注いだ。
この部屋にはバス、トイレから何でも揃っていた。
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