使役

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「確かに。でも瑶さん。相手の息の根を止めていないんだよ。相手も弱っている今がチャンスでしょ?」  そう。相手も弱っている。  なら、恢濫に動ける様にしてもらった今、チャンスと言えよう。  世都は訴える様な表情で瑶を見た。 「使役すら居ない、丸裸の世都では無理だよ」 「私には、恢濫の剣がある」 「今の恢濫から、命同様の剣を取るの? 今の恢濫の剣では紙すら切れない。武器の力は使役の力に呼応する。解ってるでしょ?」  瑶は諭すかの様に世都に話した。が、世都の表情からは納得した様子は無い。 「世都。折角恢濫に動ける様にしてもらったなら、きちんと休養して、調子を万全にした方が皆も一緒に調子が……」 「瑶さん」  世都は瑶が言い終わる前に話し掛けた。 「使役、新しく付けます。水と風を司る使役を……」  世都は毅然(キゼン)とした表情をしていた。  そんな世都に瑶は溜息を吐いた。 「無理だ、世都。無理だよ。使役を二体も付けているのに。三体なんて付けている話は過去にも無いよ。皆一体のみだ。なのにお前は既に二体付けているじゃないか」  懸命に話す瑶の話を、世都は聞くような顔をしていなかった。
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