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「さて……さっそくですが……」
日野は相沢が部屋から出て行くのを見届けると、さっそく話を切り出した。
「あなたは本当に彼氏や家族に愛されてる自信がありますか?」
と言い、胸元から赤い名刺を美奈子の机に差し出した。
美奈子はその名刺を見た。
「家族だけじゃない、さっきのアイザワさん?、でしたっけ?彼から信用されてる自信がありますか?」
美奈子は名刺を手に取り、見た。
真っ赤な名刺で中央には子供が描いたようなヘタな鳥の絵が描かれている。
『……ペンギン?』
男は話を続けた。
「さっきの彼だけじゃない、ここの社員や部下に信頼されてる自信はありますか?」
「興味ないわ、で、それが何なの?」
「わが社は【試す】を売りにしたサービス会社です」
「試す?……じゃあ探偵と一緒ね、必要ないわ」
美奈子は名刺を男に返そうとした。
「いえいえ、ただの探偵ではありません、社長のような限られた方にしか御提供しておりません」
日野は名刺を受け取ろうとしない。
「探偵と何が違うの?」
「う~ん、一言では説明できませんが、社長にも参加していただいて、一緒に彼を【試す】といった感じでしょうか」
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