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パーティーは続いていた。
『あぁ……まだ終わらないのかなぁ……、今頃アキとミカは合コンで盛り上がってるんだろうなぁ……』
美奈子はそんなことを考えていた。
『ちょっと息抜きしよう♪』
「お父さん、ちょっと……」
小さな声で父を呼んだ。
「なんだ?」
「……トイレ」
耳元で呟いた。
「あぁ……行ってきなさい」
美奈子はうなずくとホールを出て行った。
ホールの扉を閉めると
『ふぅ~』
と大きくため息をついた。
「ははっ」
振り返りると自分と同じぐらいの年の男性に見られていた。
その男性が悠介だった。
「あっ……。」
美奈子は恥ずかしくて顔が火照って赤くなった。
「俺も一緒ですよ、息抜きで抜け出したとこです」
「そう…なんですか?」
『なかなかのイケメン♪でも恥ずかしい所を見られちゃった……』
「あっ、矢田悠介っていいます、よければ少し喋りませんか?」
「はい……少しなら」
近くのソファーに座り、それから二人はいろんな話をした。
悠介も自分と同じように親に連れて来られたのだという。
気付けば、時間はあっという間に過ぎていた。
「あっ、戻らなくちゃ」
美奈子がそう言って席をたった。
「それじゃあまたどこかで会えたら」
悠介はそう言って美奈子を見送った。
ホールに戻ると父はまた違うおじさんと世間話をしていた。
『……いい人だったなぁ、また会えればいいのに』
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