『美奈子』

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車を走らせ1時間ほどして会社の正面に着いた。 車を降りると美奈子の到着を待っていた社員の一人が美奈子から車のキーを受け取り、車を地下の駐車場の方へ運んでいった。 「おはようございます」 「おはようございます」 社内に入ってきた美奈子を見た社員が次々に頭を下げ挨拶をする。 その言葉に答えることなく美奈子はエレベーターの方に向かった。 「あっ、社長お待ちしておりました」 通路の奥の方から相沢が小走りで近づいてきた。 「さっきの件は準備できてるの?」 「はい、川原の方は社員室に待たせています」 「そう……」 そう言いながら二人はエレベーターに乗り、相沢が社長室の階のボタンを押した。 ウィィーン…… 低い音を鳴り響かせながらエレベーターが動く。 「他に変わったことはあった?」 「他ですと……」 相沢は手に持っていた資料をペラペラめくり 「新商品の開発の件で、セブンサルーンと共同開発していた商品が完成しました、 そして新工場の予定地なんですが、反対していた住民に立ち退いてもらい、確保することができ、来月にも新工場が建設できる状態です……で、あとは……」 「もういいわ」 そう言って相沢の言葉を遮った。 ピーンポーン 到着の合図が鳴る。 エレベーターは社長室のある階に止まりドアが開いた。 通路の奥にある社長室の前には川原が待っていた。
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