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「おはようございます」
川原は浅く頭を下げた。
「ちょっと中に入って」
そういいながら社長室の中に入り、川原と相沢も後を追って部屋に入った。
美奈子が椅子に座ると川原の方から先に口を開いた。
「あの……ここに呼ばれたのは、どういった用件でしょうか?」
「あなた、企業利益が予定より8%も落ちてるようね」
「すみません!!すぐに後期に向けて調整の方をおこないます!」
「もういいわ……」
「えっ……」
「あなたはクビよ」
「………!」
川原は驚いてすぐには理解できない様子だった。
「相沢、退職の書類を見せてあげて」
「はい」
そう言って相沢は川原の前にあるテーブルに書類を置き、紙を広げようとした。
ダン!!
「そんな!あんまりじゃないですか!」
川原が両手でテーブルを叩く。
相沢は驚いて体がビクッと動いたが、美奈子は動じなかった。
「そこの書類に書いてる条件で納得してもらえるはずよ」
「社長!……私はあなたのお父さんと一緒にこの会社を育ててきたんだ」
「お父さんは関係ないわ」
「関係ない?」
「ここは私の会社よ、あなたはもう必要ないの」
「必要ない……」
その言葉を聞き川原はうつむいて、黙ってしまった。
部屋に少しの沈黙が流れた。
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