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美奈子は仕事を続けていた。
仕事といっても美奈子が会社でする仕事は、パソコンで会社の状態をチェックするぐらいで、後は秘書から会談する日時の連絡を受けるぐらいだった。
―ピピピピピッ
その時、机の左上に置いてある内線の電話が鳴った。
美奈子はスイッチを押し、電話に出た。
「はい、どうしたの?」
「社長ですか? あの……社長に会いたいという方が来てるのですが、どうしますか?」
電話は一階の受付の社員からだった。
「スケジュール以外の客なら会う必要はないわ、会えないと言って帰しなさい」
『いつもそうしてるでしょ!!』
美奈子はそう思った。
「それがどうしても会いたいとおっしゃるのですが……」
「会わないと伝えなさい……」
そこまで言うと「切」のボタンを押して電話を切った。
5分後……
―ピピピピピッ
電話が鳴る。
『また?!』
「何っ?」
イラッとして電話に出る。
「あっ、相沢です、ちょっとよろしいですか?」
「あ……、ええ、何かあったの?」
「社長に会いたいという方が来てるのですが……」
「さっき聞いたわ!帰すように言ったでしょ!」
「……すいません、男がどうしても会って話がしたいと言うのですが…」
「…………。」
コツ!コツ!コツ!左の中指で机を何度か叩いた。
「……その男は何の話がしたいの?」
「はい、自分は特別なサービス会社で社長に是非、利用して頂きたいと言ってます」
「……何のサービス?」
「それは社長に直接聞いてもらわないとわからないと言ってます」
「わかったわ……相沢、あなたと一緒にここまで連れてきて」
美奈子は少し考えてそう言った。
「はい、すぐにそちらに向かいます」
そう言って電話は切れた。
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