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中村 創
創は奇妙な能力を持っていた。それは幼少の頃からの悩みの種。
「見える」のである。
「はぁ…」
創は呆れたようなため息をついた。
学校の帰り道。
なんのへんてつもない通学路であったが、普通の人間には見えないそれを創は視界にとらえてしまう。
どす黒い煙に隠れてそれはうごめく。
それは人の形をしていた。
普通の人間には見えない物体…果たして物体と称していいのだろうか、つまり幽霊である。
この極めて非科学的な現象に悩まされ続けはや17年。
分かったことは黒い煙を出しているヤツラは危険だということのみ。
「ああもう…。今日は早く帰りたかったのに」
創は小さく毒づくと、その黒い煙を吐き続ける物体とすれ違わないように遠回りのコースで家へと向かう。
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