一話目

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大学に入ってはみたものの、然程大きな変化はなかった。 強いて上げるとするならば、電車に乗っている時間が増えたぐらいだろう。 サークルに入るわけでもなく、バイトをするわけでもなく、只々家と学校を往復するだけ。 そのため横の繋がりが一切なく、必然として友人も出来ず一人で過ごした。 そんな真っ白な毎日を送り、一年が経った。 連絡があったのは、大学二年目の春のことだ。 携帯電話に届いたメール。その相手は、未だ交友関係にある高校時代の友人。 友達の少ない私にとって、限り無く希少な存在である。 文を見ると、どうやら久しぶりに集まろうというこどだった。自分以外にも数人声を掛けてあるらしい。 集まる日は、来週の土曜日。今はまだ火曜なので、まだ分からないが多分大丈夫だと曖昧に答えておいた。 元々予定などありはしない。ただ、即決して暇人だと思われるのが嫌だっただけで、友人に見せた下らない見栄だ。 分かった、という返事の後に、少しだけ話しをした。取り留めのない、世間話。 適当なやり取りをした後、メールを終えた。 場所や時間は、追って連絡すると綴っていた。他の数人が気になったが、その時に聞けばいいだろう。 そう考え、眠気に従って目を閉じた。
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