一話目

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以前にも、何度か同窓会の様なものを開いていたらしい。 らしい、と言うには少々語弊がある。実際は幹事から知らされていたのだが、私自身が断り続けていただけだ。 前述した通り、私には友人と呼べる人が少ない。 そんな中同窓会に出たのであれば、一人あぶれた事になるのは目に見えている。 そんな塗炭である状況に、自ら入り込む必要などない。 そう考え、出席を拒み続けてきた。 しかし今回は幹事からではなく、友人から出席を誘われたのだ。 それならば、行くに問題はない。 何よりも、信頼する友人に誘われたのであれば、無下に断れるはずもない。 そう思い、私は出席を決めた。 友人の誘いがなければ、また何らかの理由を付けて欠席したであろうことは、間違いない。 もしもそれがなければ、私は大人となった今も変わらず、惰性のまま生き続けていただろう。 社会へ出て、当時と全く様変わりした今の生活は、友人から同窓会への誘いがあったからこそ。 その点については、偏に友人…いや、親友と言っても過言ではない、その存在のおかげである。 ただ、別の点については未だ納得出来ないのも、確かだ。
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