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“なんでみんな戦わないといけないの…”
“どんな犠牲があっても、忍の中で誰にも負けない強さが欲しい…”
険しい崖の下の河に城がある。
その城の中で一人の姫の彩音が縁側に立っていた。
「姫、明日は隆様がきますよ。」
「私が姫で本当にいいの…?」
「そんな事をおっしゃってはなりません。」
「私は弱い…。戦いも好まない…。それに、みんながすごく怖いの。」
「姫?」
「散歩してくる。」
彩音は城を出て川岸を歩いて行った。
すると、一羽の鷹が彩音の前の岩に止まった。
「貴方は飼われてるのね。」
彩音はおとなしい鷹を見て撫でた。
「お前は自由になりたくないのか?」
彩音が鷹に話していると向こう側から男が来た。
「なぜ甲賀の者がここにいる…。」
「その鷹から離れろ。」
「人が来る前にさっさと連れて帰れ。」
「あんた伊賀の姫だろ。なんで戦おうとしない。」
彩音は男を無視して帰りはじめた。
「殺すぞ。」
「殺したいなら殺せばいい。」
「伊賀の姫がそんなんでいいのかよ…。だから伊賀は弱いんだ。」
「貴様…!!」
彩音は男に殴りかかった。
「やる気になったか?」
「私ならともかく、伊賀を侮辱することは許さん!!」
「お優しい姫様なことですね。だが、これは事実だ。実力は甲賀のほうが上だ。」
「確かに伊賀は戦いを好まない。お前は甲賀の中で一番強く鬼の夜一と言われているのに何故まだ戦おうとする!!」
「俺は誰よりも強くなる。そのためにはどんな犠牲も問わない。例えそれが甲賀の頭でも!!」
夜一は彩音をクナイで大きな岩にとめた。
「っ…!!…お前は強くなって何を得たい…。」
「俺は強くなりたい。それだけだ。」
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