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そして数日が経ったある日の早朝――…。
僕は父さんと母さん、二人のお墓の前にいた。
「…いってきます。父さん、母さん…。」
二人にそう別れを告げると、僕はそっと町を抜け出した。
「こんな事だろうと思ったわよ。」
「!!」
「メイ、ニト…、なんで…ここに…?」
僕が驚いていると、ニトとメイは得意気な顔をした。
「黙って出るつもりだったんでしょ!」
「クリフの考えそうな事くらい判るさ。俺達ずっと一緒だっただろう?」
「メイ…ニト…。」
「…ここはお前の帰る場所だ。いつでも帰って来いよ。」
ニトは僕にそう言うと、手をガッシリと握り締めた。
「クリフ、これ…。」
「…これは……。」
「あたしとニトからの御守り…。クリフに旅の御加護を…。」
メイはそう言うと、僕の首に御守りをかけた。
「…メイ、ニト。ありがとう…。」
僕はその御守りをギュッと握り締めると、外へと歩き出した。
「気をつけてな。」
「クリフ…行ってらっしゃい。」
「…行ってくる!」
一度だけ振り向くと、二人に手を振って歩き出した。
二人は僕の姿が見えなくなるまで、手を振り続けていた。
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