プロローグ

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「三つ目は『司法機関』ね。おもに裁判を行う所。最高裁判官は国連総理大臣によって指名されるの。この、『王政機関』『国連機関』『司法機関』の三つが参画関係になってるのがこの国の政治。この参画の中心は、私達国民。これを『三権緒政』っていうの」 ジョンが感心したように首を上下させる。 「すげぇなお前、解答用紙みてぇにスラスラと」 「総理大臣や最高裁判官に指名された人物は最終的には国民の選挙で決定するのよ。でもひとつだけ違うのが国王選挙。国王候補を指名するのは国民の世論結果なの。そして国王候補を選挙で絞り込む。分かった?アル」 「チキンナゲット下さい!」 「まいどありぃ!」 「聞け!」 フレアの平手打ちがスパンと決まった。 まぁ、政治家を選挙で決めるというのは、国が平和になった証だ。 そんな感じで話を纏めてみる。 「だいたい、あんたどうやってウィレル卒業試験合格したの?」 要するに、これほど政治を知らないのに、何故合格出来たか聞かれている。 アルは苦笑いしながら答えた。 「あの時は勉強したもん。でも覚えたこと全部忘れた」 一度は覚えたのだ。ちゃんと。 途端に、辺りの国民達がレッドカーペットの先を見て、声援を浴びせ始めた。 「お。国王候補様方のご入場だ」 ジョンが言った。 歩いてくる候補は三人。最終選挙に勝ち残った有能な候補達だ。 その三人の中で、最もアルの気を引く人物が、その確固たる足取りを進ませていた。 『ケルティア.R.ファルフーレ』 ルーカス元国王の実の長男である彼は、その絶大な支持率で他者二人を圧倒しており、もはや発表会を行う必要はないと言える程だ。 候補三人が横に並び、それを合図に開会式が始まった。
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